最近読んだ本_2019/10

電子書籍リーダー Kindle Paperwhiteを9月半ばに買って、10月は初めての電子書籍月間になりました。

 

kindleで読書生活はどう変わる」に挙げたファーストインプレッションには「集中できる」、「スピードが上がる」と書きました。

今回UPした書評は5本、実際にはほぼ6冊読んだので、その印象自体は裏付けられたことになります。

そうかといって、逆に粗読、乱読にならぬよう気をつけねばなりませんが(汗)。

 

荻原浩「噂(新潮文庫)」★★☆☆☆

都内で発生した若い女性が殺され足首を切り取られる猟奇的な連続殺人事件。
捜査に当たる所轄署のベテラン刑事小暮と本庁から来たキャリア女性刑事名島のコンビは、渋谷限定で広まる「レインマン」の噂を頼りに捜査を進め、発信源と目される口コミを販促に利用する怪しいげな広告コンサルタントに狙いを定めて足元を固めていく。
著者の小説には個人的に大きな信頼感と安心感を持っているが、やはりずべてが★5つとはいかない。本作ではエピローグの後に添えられた数ページ、特に最後の一行は余計だった。
ホンワカとした余韻を残す小暮と名島の後日談を続編で読みたかったが、最後の最後で崖から突き落とされた気分。いやはや、小説とは恐ろしい。否、小説家が恐ろしいと言うべきか。

 

 

佐藤正午「身の上話 (光文社文庫)」★★★★★+★

読み応えがある。ありすぎるほどあって途中でドキドキして不安になるほどだ。ストーリーの先が全く読めないこともあるが、主人公の書店員ミチルが不倫相手の男を追って故郷を捨て東京へ出奔、そして2億円の宝くじと当てた後にどんどん増長する不安感。これが実に身につまされるのだ。
そんなに気まぐれで、後先を考えない生き方ってアリかよ!
その後いろいろな男性と関わった末に放心してしまうミチルは、目的のない放浪の旅を続ける途中で冒頭からのストーリーテラーである男性に拾われる。その男性がまた・・・
ネタバレになるので止めておくが、正確で柔らかい独特な文体ながら、戦慄と共に一気読みしてしまう名作。
秘密を持つって怖いな~、自分もセコい秘密ならあるしな〜、と嫌な汗を拭いた。

 

 

二宮敦人「最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)」★★★★★

最新医療と自分の身体能力を駆使して患者を是が非でも生かそうとする福原。患者の深い心理を掘り起こし時には肯定的な死の選択も是とする桐子。そして迷いながらも常に患者に向き合い共に悩もうとする音山。
タイプのまったく違う3人の医師が、白血病、ALS、末期癌の3人の患者にそれぞれの医療を全力で施す姿を通して、人間の生き方、死に方とは何かを問う
kindleの無料本だったので期待もせず、どちらかといえば上から目線で読んだが、途中何度も泣いた。名作だと思った。
続編もぜひ読みたい。

 

 

水野敬也「夢をかなえるゾウ文庫版」★★★☆☆

これもkindleの無料本。200万部のベストセラーだそうな。像の姿で大阪弁を喋るちょっと変な神様ガネーシャが、平凡だがこのままではいけないと悩む若いサラリーマンの前に突然現れ、「人生を変えるには」、「成功するには」と押し売り的な講義を始める。
途中までは(説教くさいな~)と思いながら読んだが、後半はガネーシャの人柄(?)も分かってきて、(フムフムなるほど)(エエこと言うやん)みたいな感じで結構納得しながら読了した。
要するに著者が言いたいのは、人生を変えて成功するには行動と実践が大事!ちゅうことやね。
ガネーシャが繰り出す課題がシンプルで分かりやすいことや巻末の解説が充実しているところにも大阪流のサービス精神を感じた(著者は愛知県人、慶応大卒なのが謎)。

 

 

須川邦彦「無人島に生きる十六人」★★★★★

これまたkindleの無料本で、太平洋戦争中に少年向けの雑誌に掲載された冒険実話。
明治32年に太平洋上で帆船が座礁し、無人島に上陸した十六人の乗員が、海と砂とわずかな植物しかない島で手に入るものだけを命の糧として、力を合わせいつ来るやも知れぬ救出を待つ。
明治の庶民の気概と気骨、全員が私欲を捨て全員のために尽くす高潔な精神、無人島で生き延びる知恵と体力と手業。それら現代人の誰もが忘れていることを本書は思い出させてくれる。
日本人であれば是非こうありたい、こうあらねばと身の引き締まる思いがした。良い本だった。

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