最近読んだ本_2019/09

本日のラグビーWorldCupは、前半プール戦A組の日本vsサモア戦だった。

結果は、38対19で日本勝利ィ‼️

をいをい、開幕前にこの結果を予想したヤツがいたか?
この盛り上がりを期待していたヤツはいたのか?

 

…ということで、日本中大盛り上がりの中で本稿を書いています。

9月は、4冊。

実は、9/19にamazonのkindleを買ったので、次回から電子書籍での読書感想文になります。

 

 

南直哉「自分をみつめる禅問答 (角川ソフィア文庫)」(途中棄権)

著者は曹洞宗の僧侶。福井県で住職を勤める傍ら青森県は恐山菩提寺の院代も兼ねるというすごいお坊さんなのである。

以前、仏教伝道協会主催のセミナーで「人の死」をテーマとした講演を聴いたことがあって、漫談のような笑いで聴衆を惹きつけながら、その風貌に負けない鋭くズバズバ切り込む語り口が印象に残っていた。

…で本書だが、残念ながら途中棄権した。私が期待した「曹洞宗(又は臨済宗)⇒禅⇒瞑想⇒悟り」といった内容ではなかったし、まさに禅問答の如き難解な抽象論の連続に、どう頑張ってもついて行けなかったからだ。

誤解を恐れずに言えば、そういう当意即妙なやり取りや問答が出来る頭脳明晰な人でないと曹洞宗の僧侶にはなれないのではないか、とまで考えた。

あぁ、私なんぞまだまだ洟垂れ小僧にも届かない。

 

岡野雄一「ペコロスの母に会いに行く (角川文庫)」★★★★★

ペコロスとは、つるっとした外観の西洋玉ねぎのこと。著者は、ペコロスに自分のハゲ頭を重ね、晩年認知症ほかで要介護となった著者の母は、ペコロスのようなハゲ頭で息子を認識する。

テレビドラマにもなった本書で、自分自身が両親の介護に明け暮れた6年間が思い出された。著者は、ホームで暮らす母のもとに通う日々を「介護」と言っていいのか悩んだという。私も同じように感じた時期があったが、今なら胸を張って言える。「それもまた、まもり(護)たすける(介)大切な心の介護なのです」と。

泣かされる場面がたくさんあった。ペコロスの母上殿は、ボケてから亡くなった旦那さんとよく逢えるようになったと。優しさ溢れる絵もいい。

多くの人が一度は通るであろう「親の介護」という人生の一局面を前向きに捉えるためにも、ぜひ一読をお勧めしたい。

 

伊坂幸太郎「グラスホッパー (角川文庫)」★★★★☆

著者の比較的初期の作品で、直木賞候補にもなったハードボイルドものである。

妻を轢逃げされた鈴木は、復讐のため轢逃げ犯の男の父親が経営する会社に入社するが、男は鈴木の目の前で車に轢かれてあっけなく死んでしまう。「押し屋」と呼ばれる殺し屋が暗躍したらしいが、鈴木は会社の幹部である比与子に命ぜられるまま「押し屋」の追跡を始める。一方、腕の立つ二人の殺し屋、自殺幇助の「鯨」、ナイフの名手「蝉」は、別の目的で「押し屋」を探していた・・・

著者は、作品やストーリーによって何種類かの文体を使い分けている(のだと思う)。本書のクールで乾いた文体は、殺し屋が跋扈し、暴力の臭いが漂うストーリーにぴったり合って妙に落ち着く。

重たいテーマとは無縁だが、エンタテイメントとしては一級の作品だ。

 

 

門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発 (角川文庫)」★★★★★+★

3.11の巨大地震による津波被害により、人手によるコントロールの外に出てしまった福島第一原子力発電所。その事故発生から一応の収束までを多くの関係者の証言を基にして克明に描いたドキュメンタリーである。

会社の同僚に勧められて手に取ったが、重い内容、分厚いページ数にも関わらず一気に読んだ。

多くの日本人がまだ余震の続く中で固唾を呑んでテレビを見続けていた「あのとき」。

現場では、当事者である東電職員のほか自衛隊、消防職員など大勢の人たちが、指揮系統が混乱し物資も不足する中、放射性物質の目に見えない脅威とも戦いながら文字どおり身体を張って原子炉の暴走を止めようとしていた。

普段は、あって当たり前、動いて当たり前の監視盤や警報装置、ポンプ、電動弁などが電源の供給を絶たれたことですべて動かなくなった。照明も消えて真っ暗だ。そんな中で冷却水用の仮設ホースを敷設したり手動でバルブを回したりするため原子炉建屋に進入しなければならなかった彼ら。経験したことのない事故の中では、何が起こるか分からない。大きな爆発も起こった。彼らは、いったいどんな思いで働いたのだろうか。

所長の吉田は、原発と運命を共にするため死をも覚悟した。多くの職員は、職業意識や上司、会社への忠誠心、そして被災者となっている家族のことなどで葛藤したことだろう。

途中で怖くなってテレビを見るのも関連する情報を耳にするのも出来なくなった私には、何を語る資格もない。結果として日本が迎えたかもしれない最悪の自体は免れたが、いまだ原発事故は収束していない。

故郷に戻れない人々もたくさんいる。あの混乱した時期の出来事、特に原発事故の真実を克明に伝える本書の存在は何にも代えがたい。多くの日本人が読むべき・・・

(本稿、あまりにも強烈で重い内容を受け止めきれないまま書いてしまったので、全然まとまりがありません。悪しからず)。

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