最近読んだ本_2017/09

9月というとベタにEARTH WIND&FIREの「セプテンバー」が思い浮かぶのは筆者だけでしょうか。

Do you remember the 21st night of September?
Love was changing the minds of pretenders
While chasing the clouds away

― 覚えているかい? 9/21の夜を
― 二人の愛が雲を追い払って迷う心を変えてくれたね

 

Now December found the love we shared in September.
Only blue talk and love, Remember the true love we share today
Ba de ya – say do you remember!
Ba de ya – dancing in September!

― 今は12月・・・、9月に分かち合った愛は続いている
― 甘い言葉と気持ちだけでいい、今日確かめ合った愛は忘れない
― Ba de ya… Ba de ya…
(クサい訳詞by筆者)

 

EW&F最大のヒット曲は、12月に9月を思い出してモーリスおじさんが唱うLove Songだった・・・
・・・ということで今月も4冊分の書評でございます。

 

灰谷健次郎「兎の眼」★★★★★
 ゴミ処理場のある町の小学校で生徒と教師たちが身の回りの出来事や事件を通して互いに成長して行く姿を描くベストセラー。
 「うっ」としか言葉を発しないがハエには滅法詳しい鉄三と、失敗を繰り返しながらも先輩教師に励まされ必死で頑張る新任小谷先生との交流を軸に、感動的なエピソードを散りばめながらストーリーは進む。
 その一方、小学生でも読める優しい語り口で、子どもの教育とは、人間の優しさ・怖さとは、生きることの苦しみや弱者への差別とどう向き合うか等々、非常に重いテーマを読者に投げかけてくる。
 それほど作品数の多い作家ではないが、本作を最初に手に取れたのはラッキーだった。なぜなら、この作家の次作に手が伸びるのは随分先のような気がするから。その意味で1冊目に代表作を読めてよかった。

 

百田直樹「カエルの楽園」★★★★★
 この小説は、まさに現在の日本における外交、安全保障、国内政治、国民の動きと世論、マスコミによる情報操作その他諸々の現状と近未来を、カエルの国NAPAJ(ナパージュ)の物語に単純化して実に分かりやすく読ませる。
 中盤からラストにかけては、まかり間違えば日本これから進んでしまうかもしれない背筋が寒くなるような筋書きが描かれるが、政治家、自衛隊、アメリカほか実在するキャラクターの置き換えが絶妙で、本当に面白くて分かりやすいだけに、(それって十分あり得るよな~)と思ったり、反対に(本当にそうなのかな~)と思ったり気持ちが揺れ動く。
 著者はこの小説で、長く続く平和に呆け、そのお陰で思考停止し現憲法の堅持こそ平和の源と盲信する一部の日本人に警鐘を鳴らそうとしている。繰り返しになるが、私はこの小説で著者が訴えることを100%信じることはできない(信用度50%以上ではあるが、現実を直視するのが怖いだけかもしれない)。
 何故か新聞や大手マスコミはこの本を取り上げたり、批評しようとはしないようだ。多くの日本人がこの本を手に取り、何かの刺激を受けることで、自分達自身の眼や頭で現状を見てこれから進むべき道を考え、自分達の国は他の誰でもない自分達で造り維持する意識を持ち、それを実際の行動に結びつけられる人が増えることを望む。

 

角田光代「予定日はジミー・ペイジ」★★★★☆
 医師から告げられた予定日がジミー・ペイジの誕生日だった妊婦が、妊娠初期に何でも匂いを嗅いで嘗めたい衝動に駆られたり、中期以降では妙にリアルな夢を見て不安定になり夫に当たったりしながら出産に向けて過ごす日々を、客観的だが生々しく、ちょっぴり醒めたユーモアも交えながら描いている。
 さすがに直木賞作家だけあって文章と表現の巧さは頭一つ抜けている印象。男である筆者が読んでも充分に感情移入できた(おかしい?)。
 マイナス1星は、この夫婦が旅行、外食、居酒屋、買い物に金を使い過ぎる点。普通の若いサラリーマンと専業主婦のペアならもう少し質素でないと白ける。
 推測だが著者がこの小説を書いたのは30代後半と思われ、あとがきで出産経験はないと知り愕然とした。小説家とは恐ろしい。初挑戦で間をおかず別作品を手に取りたくなる作家は、最近では珍しい。

 

垣根涼介「張り込み姫」★★★★☆
 著者の場合、ミステリーや冒険活劇をA面とすれば、リストラ請負人村上真介の活躍を描くこの「君たちに明日はない」シリーズはB面だろう。いや、第1作は山本周五郎賞を受賞しているので両A面か(意味の分かる人は成人病に注意(笑))。
 3巻目の本作でも、真介は企業の意図に沿って男女4人に退職を勧め、それぞれの人生に大きく切り込んで行く。各々の結末は概ねほろ苦いが、希望と爽やかさがほどよくミックスされているので読後感はすこぶる良い。なおかつ水戸黄門的な安心感もある。
 マイナス1星は、2話、3話に著者自身とその経歴が投影されている点。それはちょっと手抜きでしょう、ということで。

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